ZOZODOWN

イラストレーターが絵を交えつつ文を綴るブログです。小まめに更新したい気持ちはあります。

ネトフリで見たドキュメンタリーの感想(4作品)

在宅勤務により人間という最強のストレスが取り除かれ様々な余裕が生まれたので、ネトフリでブクマしたまま永遠に見ないやつ代表のドキュメンタリーの消化に踏み出した。

ということで、折角なのでイラストを交えて感想を書いてみます。

あらすじはネトフリさんのをお借りしました。

 

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サーカス・オブ・ブックス(2019)
数十年にわたりLAの同性愛者たちに愛されたゲイ・ポルノ専門店。
その経営者である心優しきユダヤ人夫婦が歩んだ道のりを、彼らの娘である女性監督が振り返る。

ル・ポールのドラァグレースを履修し、クイーン恋しさに関連動画を探していたところ見つけた。
シーズン5出場者のアラスカは元従業員だとかで、作中のインタビューで何度か出てくる笑

この本屋さん、想像するようなアダルトショップらしいところは全くなく、どちらかというと日本でいうところの文房具屋とかの雰囲気。
知らないで入る人がいそうなレベルで如何わしさがない。経営者のご夫婦、特に奥さんの方は「仕事」と完全に割り切っていらっしゃる様子がおもしろかった。

 

最盛期は同士の出会いの場でもあったらしく、ネットの普及等で本の需要が現象すると同じくして、そういった交流もなくなっていったと、少し寂しそうに語るのが印象に残った。
エイズの問題も他人事ではなく、先週まで店に来ていた従業員や常連が何人も亡くなっていったと。

 

ラストは閉店の日の映像で、なんとも言えない寂しさがあった。
看板のネオンは「BOOKS」の「OOK」が消えかかっていて、それもまた退廃的でじんわりとした余韻を感じた。

EDの曲いいなぁと調べたら、監督の方(つまり娘さん)の曲なんだってね。
これがまたあのラストに合ってていいんだ。

 

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サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~(2020)
思わず笑ってしまう話から信じられない話まで、有名スターが体験したサイケな世界をアニメやドラマで再現しながら、愉快で危険な幻覚体験を徹底検証する。

もちろん非合法ですので経験はないけども、経験者の声をこうして聴くのも相当面白かった。主にLSDについてで、ペヨーテがどうとかって話もしてた。
一番興味深かったのは、「ないものが現れる」わけじゃなくて「すでにあるものが形を変える幻覚」が見えるとの話。
再現ドラマとアニメは数も多く作りこんであって、経験者の監修が入ってるわけだから実際もこんな感じなんだろうという説得力があった。

追体験するにはいいんじゃないでしょうか(?)

 

感想とは関係ないんだけど、数年前にサイケのライブに行った翌日、うとうとと居眠りした際にトリップのような体験をしたことがある。
目の前に現実的なものは一切なく、ピンクの万華鏡の中みたいな映像に、ただビートルズのStrawberry Fields Foreverが流れてたという…。

 

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マーシャ・P・ジョンソンの生と死(2017)
伝説的なトランスジェンダー、マーシャ・P・ジョンソンが謎の死を遂げてから25年。激化する差別と戦い続ける活動家ビクトリア・クルスが、その死の真相に迫る。

ネサフしているとちょうどパレード月間だったらしく彼女の写真をよく見かける。ので、この機会にと視聴。

この頃あったかの件やストーンウォールの話も含めて、警察との確執の面でも注目されてるのかな。


彼女がいかにLGBTの権利のため尽くした人物かというのは、実際の知人友人の証言だけでもよく理解できた。
だからこそ25年経った今でも、こうして真実を明かそうと協力してくれる人達、協力してくれる人達がいるんだろうなぁ…。
一つずつ手がかりを手繰っていく展開は、推理物の映画やドラマのような臨場感があって面白い。
個人的には、遺族や当時の捜査関係者に対して、無理に聞き出すようなことをしないのもよかった。

 

wikiのマーシャのページを読んだんだけど、ここ2.3年で彼女の功績を再び讃える動きが多々あるようで。
事件は結局未解決なわけだけど、このドキュメンタリーの影響だとしたら報われるところもあるんじゃないかな。

これから先正式に再調査(今回個人の力では及ばなかった部分含め)が行われる可能性も出てくるしね。

 

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SHOT!(2016)
時代の波に乗り、数々のロックスター相手にシャッターを切り続けた男。記憶をたどれば、彼が伝説の写真家たるゆえんが分かる。

60年代後半-70年代前半の音楽が好きな中でも、とりわけグラムロックは思い入れが強い。

ファンの中ではグラムの有名な写真のほとんどは彼(もしくは鋤田さん)が撮ったんじゃないか、というくらいミック・ロックはお馴染みの写真家。たぶん多くの人は顔も思い浮かぶくらいに。

 

再現ドラマが自然な流れで挿入されるので、ドキュメンタリーというより映画のような感覚で見れた。

それも当時の映像…?と思うようなこだわりっぷりで、先進的アーティストが集うあの時代のニューヨークの空気がよく伝わってくる。

ルー・リードとの会話、インタビュー音声?がいくつか使われてて、仲の良さがうかがえるエピソードも紹介してたのがよかった。

薬物が原因でどん底にいた時にルーやボウイが連絡をくれたって話も、写真家とスターの関係を越えて友人であったことの現れでいい。

そこで意外だったのは困ってた時に助けてくれた友人として、アンドリュー・オールダムの名前が出たこと。

私はストーンズのファンでもあるので彼の名前はよく知ってたけれど、こことそこが結びつくとは思わなかったのでちょっとびっくり。

どちらもストーンズの初期メンバーより少し下のはずだから同い歳くらいなのかな…?

 

ミック・ロックの作品はシドの写真集を持ってるんだけど、その撮影についてもそこそこの尺で解説があったのが嬉しい。マッドキャップのころも好きだけどその後の短髪の写真も好き。

始めてこの人がミック・ロックかとまじまじと見たのは、その時撮ったツーショット写真だった気がするな そういえば。

見てて気づいたけど、写真撮るのも映るのも好きなんだろうな笑

いろんなアーティストと自撮りしてる映像にほっこりした。

自分が大成したのは運が良かったからと話してたけど、それだけじゃなくて人の良さもあったんじゃないかな。そういうのってやっぱ大事だね~。

 

最後に「この作品をルー・リードデヴィッド・ボウイに」という一文が入ったことによって、彼らが亡くなった後に作られた作品だと知りちょっとしんみり…。

私は今だに、彼らがこの世にいないことを時々思い出しては寂しくなる。

後追いファンの自分どころか親ですら生まれる前の時代を、写真や映像として眺めることができることって本当にありがたいよね。

おかげで半世紀前のことであっても、私にとっては常に美しく輝かしいものとして存在し続けてくれているもんね。

 

***

思い入れの強さもあって一つだけものすごいボリュームが違う。

文章を書くのは嫌いじゃないんだけどいかんせん得意ではなく、というのも読書量が足りないからなんだろうなと感じる。

ですので、今年(残り半年だが)はこうしてテーマを決めて文を作ってみようかなと。合わせて読書も再開するか~…。

それらと向き合う気になったのも、冒頭で言った通り余計なストレスが減ったことによる作用だと思う。本当に。

文化的に生きるためにはある程度の余裕が必要だよね。必要量は人によって違うだろうけど私はこれくらいが程よいらしい。

ずっとお家でお仕事したいねえ。